DIARY

あなたが生きていたこと、忘れないよ。

ねぇ、聞いて。
さっきね、夕暮れの空が綺麗だなぁと思って窓を開けて見ていて。
蝉の鳴き声がすごいからすぐに窓閉めたんだけど、閉めてしばらくしてから、尋常じゃないくらいの蝉の大合唱が始まって・・・!
部屋の中に入り込んだとか、そんな近いところの話じゃなくて。
あれ?いつもこんなすごかったっけ??って。

まるで叫びのようだ。
腹の底から力を振り絞ってる感じ。

どうしたんやろ?こわい、、地震でも来るのかな?
と心配になるくらい、蝉たちが身体中のエネルギーを一滴残らず絞り出して鳴いているように感じた。

妙な胸騒ぎがした。

次の瞬間、一斉に鳴き止んだ。

日が完全に落ちたからもうおやすみなのかな?と思ったけど、なんだかあの強烈な鳴き声が何かのメッセージのような気がして。

ふとあることを思い出して、
急いで手帳を見た。
そして、ストーリーズのアーカイブを確認した。

やっぱり。

そう、ちょうど2週間ほど前。
どんより曇り空のあの日、蝉が鳴き始めた。

本来なら梅雨が明けて夏の到来を知らせてくれるはずの蝉の鳴き声が、それに似つかわしくない雨の合間の曇り空に鳴り響いていた。
こういう時、いつも地球のことが気になって、少し不安になる。(だってさ、きっとそういうことだもんね。)

次の日、やっぱり雨だった。
その次の日、けっこう激しい雨が降った。
彼らのことを心配していた。
確か2週間くらいしか生きられなかったんじゃなかったっけ?
昆虫の生態についての知識は皆無に近いけど、なんかそんなことを聞いたことあるような気がするなぁーと思いながら。

その日の午後、雨が止んで、蝉がまた鳴き始めた。
ちょっとホッとした。よかった〜、無事だったんだ。


そして今日が、ちょうど14日目だった。


ああ、そうか、
彼らは、今日という日に、この世での役目を果たしたんだな、と思った。
やっぱり、あれは叫びだったんだ。

いのちを、一滴残らず絞り切って、伝えてくれた。

ちゃんと届いてるよ。
こんな人間にも。

あなたが生きていたこと、きっと忘れないよ。





明日からはまた、別の子たちが、全身全霊でいのちを叫んでくれるんだろう。
それを当たり前だと思わないようにしないとね。
守っていかなきゃ。
大切にしようね、いのち。