2020-02-06
赤い;003 妄想に身を任せて
赤い;002を読む
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2019年6月1日。
約半年ぶりのニューヨークに着いた。大好きなニューヨーク。嬉しさもあったが、実は少し不安を抱いていた。
というのも、この旅の目的である『旅する赤いソファプロジェクト』が、ひとつもコマを進められていなかったからだ。
ぜったいに一人では出来ないプロジェクトだから、誰かに協力してもらわなければ・・・と思い、事前に簡単な企画書を作って、以前ニューヨークで知り合った数人の日本人の方々に送っていたのだけど。
事前といっても、確か出発の一週間くらい前だったかな?
・・・・今メッセージの履歴見たら、まさかの5日前だった!!
いい加減にしろ、と自分に言いたい。
ほんとにいつもギリギリになってしまう癖!
どうにかした方がいいんだろうけど・・・。
企画自体は頭の中ではもう出来ていて、それを第三者に伝えるために企画書が必要な訳で。つまり、企画書さえ出来たらコトが進んでいくということ。
なのに、わたしはいつも、直感的に最高のアイディアだと感じたり、自分の中で実現性が高ければ高いほど、妄想が先に進んでしまう。文字に起こすのは後の後の後回しで。
気が済むまで妄想を楽しんでしまう癖。
・・・治したくない。
初っ端から言い訳はこの辺にしておいて。
そんな感じでわたしがギリギリだったこともあって、まだ誰からもいい返事がもらえていなかった。
日本を出る前に返事をくれた人が二人いたけど、
「すごいことするんですね〜」と、完全に他人事。
そりゃそうだよね。突然こんな大胆なプロジェクト、何のツテもないまま実行しようとしてるやつなんて普通(?)いないだろう。
わたしは勝手に、きっとみんな面白がってくれる!一日くらい協力してくれるだろう!と思い込んでいた。
だってわたしと関わったら絶対に、めちゃくちゃ面白い体験が出来るという自信があったから。
でもまさか、皆さん、自分をアテにしてるなんて思ってもみなかったみたい。
そりゃそうだよね、一回しか会ってないんだから。
返信くれた人もメッセージのやり取りは素っ気なく、途中で終わってしまうし、他の人たちからは返信がないまま。
一番の頼みの綱だと思っていたのは、はじめてのNYで知り合った語学留学中の写真やデザインをやってる男の子。彼ならとっても仲良くなったし、撮影で参加してくれるはず。そして以前紹介してくれた学校の友人たちも、きっと協力してくれるだろう。と、何の根拠もないのに思っていた。
ところが。
ニューヨークに着いた初日、真っ先に会いに行った彼の口から、予想もしないような事実を聞くことになる。
「あ〜、ぼく、今、肩壊しちゃってるんですよ。最近手術したばっかりで。」
・・・・・え?
「なので、手伝えないです。すみません。・・・あれ?言ってませんでした?」
・・・・。
聞いてないよーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!
しかも、彼の友人たちも、別の学校に行ってしまってたり、母国に帰ってしまってたりで、会えない状況らしい。
たった半年なのに、こんなにも状況が変わるんだ・・・と、ニューヨークの時間の流れに初めて驚いた。
・
・
そして彼はわたしに訊いた。
「ソファって、今どこにあるんですか?」
そう、ソファね。肝心の。
・・・まだ日本やねん。
そう、わたしだけ、先に来てしまったのだった。